車間距離を詰めた状態を維持しながら、時速200キロで富士重工業のテストコースを駆け抜けるスバル車=栃木県佐野市
スバル車をつくる富士重工業は6日、開発者たちが実際に車を運転して、性能を評価する試験の様子を報道陣に公開した。ほとんどの自動車メーカーはテストドライバーが車の性能評価を担うが、富士重は開発者がテストドライバーを兼ねている。開発者が運転することで、細かな改善点に気づきやすくなるという。
栃木県佐野市の同社テストコースで、角度がついたカーブを時速200キロで駆け抜ける高速走行性能や、水が流れて滑りやすい路面上でのスリップ制御などの試験が公開された。
車の開発では、「走る」「止まる」「曲がる」といった基本的な走行性能が、さまざまな環境下で安定して発揮されるかを確認することが大切だ。富士重によると、ほとんどのメーカーは運転技量の高いテストドライバーを置き、走行性能の評価や走行データの記録をしているという。
一方、富士重にはテストドライバーという職種はなく、トランスミッション(変速機)やタイヤを押さえるサスペンションなどの開発者が、テストドライバーとして試作車を運転し、評価する。トランスミッション技術者の井上健司さんは「どういう環境で、どういう運転をすると、どれだけの負荷がトランスミッションにかかるのか。そういった細かいニュアンスを自分で確認することが、開発に役立つ」と話す。
富士重は昨年9月から、開発者たちが外部のレーシングドライバーらによる運転訓練を受けられるプログラムを始めた。ドライバーとしての技量が上がれば、性能評価の質も上がり、最終的な商品力に結びつくためだという。(榊原謙)