好投した盛岡大付の投手三浦=越田省吾撮影
(7日、高校野球 盛岡大付8―6九州国際大付)
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打ち合いに終始するかに思えた展開。それを断ち切るだけの能力と精神力が、盛岡大付の2年生左腕にはあった。
すでに両チームが計15安打を放ち、4―4となっていた四回にマウンドへ。相手の勢いと甲子園の雰囲気にのまれても、おかしくない。しかし、三浦は違う。
「楽しく、思い切ってやってやる」。岩手大会決勝も四回から登板、粘りの投球で終盤の勝ち越しを呼び込んだ自信もある。球速は135キロ程度だが、球に伸びがあった。右打者へはスライダー、左打者へは外角の直球を決め球に七回まで1失点。接戦を演出した。
八回は自らの暴投もあって同点に追い付かれ、なおも1死満塁で3番打者を迎えた。そこで捕手の伊藤が胸を右手で胸をたたくジェスチャー。落ち着き、なおかつ燃えた。
「低めの球でゴロを打たせろ。ワンバウンドは俺が必ず止める、という意味なんです」と三浦。外低めの直球で一ゴロに。続く4番は内角低めのスライダーで詰まらせ、三ゴロ。「もう次の回のことを考えていた」と、表情を崩さずベンチに引き揚げたのが憎らしい。九回に味方が2点を奪って試合を決めた。
低めの球は最も自信がある。冬場は雪道を長靴で毎日2時間以上走り、下半身を作った。その土台があるから、打者のひざ元で球の勢いが落ちない。
「次も先輩たちのために思い切って投げます」。175センチ、65キロの細身に太い芯が通っている。(有田憲一)