アルプス席でトランペットの音色を響かせた東邦マネジャーの梶浦郁乃さん
(17日、高校野球 聖光学院5―2東邦)
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仲間を信じて笑顔で楽しむ。エースで4番の藤嶋主将が帽子に書いてくれた言葉を試合終了まで守った。記録員でベンチ入りした2回戦は、九回に4点差を逆転してサヨナラ勝ち。きっと、この日も――。「がんばれの気持ち、届け」。今度はアルプス席でルパン三世のテーマ曲やさくらんぼの曲を響かせた。
トランペットを吹く野球部マネジャーとして、この夏ちょっとした有名人に。きっかけは去年の今頃。小学校でトランペット、中学でホルンを吹いていたのを森田監督に話してからだ。
吹奏楽部は強豪で、野球部の試合に応援に来られないこともある。「俺が買ってくるから吹け」。冗談と思って笑い飛ばしたら、数日後、監督は本当に楽器を持って現れた。
トランペットに触れるのは小3以来。吹奏楽部員に楽譜をもらい、特訓も受けた。昨秋の明治神宮大会、今春の選抜と、たくさん吹く場をもらった。それでも最後の夏は特別。愛知大会前、通常のマネジャー業が終わった後に自主練習した。甲子園入りした後も宿舎の屋上でバットを振る部員の横で吹いた。
負けたけど、グラウンドもスタンドも諦めていなかった。粘り、そして悔しさは後輩が継いでくれる。一つ、自分にも楽しみが出来た。後輩マネジャーがトランペットを吹きたいと言ってくれている。伝統が生まれそう。ワクワクする。(藤田絢子)