台風12号の影響で断続的に強い雨が降った鹿児島県長島町では、道路に雨水が溜まっていた=4日午後5時54分、鹿児島県長島町、長沢幹城撮影
台風12号は5日午前1時過ぎ、長崎市付近に上陸した。午前3時現在、長崎県佐世保市付近を時速15キロで北北東に進行。勢力が弱まり風速25メートル以上の暴風域はなくなったが、気象庁は高波や浸水、河川の増水などへの警戒を呼びかけている。
気象庁によると、5日午前3時現在の中心気圧は1千ヘクトパスカルで、最大風速は18メートル、最大瞬間風速は25メートル。5日朝には福岡市に最接近し、午後3時には山口県下関市の北約50キロに達する見込み。
4日朝には鹿児島県の志布志市で1時間に66・5ミリの雨量を観測し、9月の記録を更新した。6日午前0時までの24時間に予想される雨量は、いずれも多いところで、近畿で180ミリ、九州北部、四国、東海で150ミリ、中国で120ミリ。
各地で避難指示や避難勧告、避難準備情報が出され、自主避難した人もいる。鹿児島県南九州市では4日、避難所に向かっていた80代の男性が風にあおられて倒れ、頭を切る軽傷を負った。午後5時40分ごろには、宮崎県小林市の空き地でエノキ(高さ約4メートル、幹の直径約1メートル)が倒れ、木造2階建て住宅の1階外壁を突き破った。けが人はいなかった。台風の影響かどうかは不明だという。
JR九州によると、4日は宮崎、鹿児島両県の吉都線や日南線など一部の路線で始発から夕方まで運転を見合わせた。5日の九州新幹線と在来線は通常通り運行する予定。
長崎市や佐世保市と五島列島を結ぶ九州商船のフェリー、高速船は4日、全便が欠航。5日も一部の船の欠航が決まった。韓国・済州島から4日に長崎港に入る予定だったクルーズ船の寄港も中止された。