日本の弾道ミサイル防衛(BMD)は、米軍からの情報をもとに、海上のイージス艦がミサイルを発射して迎撃し、失敗した場合、地上から撃ち落とす二段構えとなっている。
だが、「100%の迎撃は困難」(自衛隊幹部)というのが実情だ。ミサイル発射が、潜水艦や移動式発射台から行われると、その兆候をつかみにくいためだ。現在の地対空誘導弾パトリオット3(PAC3)の配備数では日本全域をカバーすることも困難とされる。
このため、防衛省は来年度予算案の概算要求で、イージス艦に積む改良型の迎撃ミサイルの導入や、PAC3の迎撃範囲を約2倍に広げる改修費などを計上した。BMD対応型のイージス艦を現在の4隻から8隻に増強する計画もある。
また、「ミサイル防衛の能力を高めていく」(稲田朋美防衛相)として、米国の先進的な取り組みや装備品の研究を重ねている。PAC3より高い高度で迎撃できるという高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD)や、陸上配備型イージスシステム(イージス・アショア)などの導入も視野に入れている。(二階堂勇)