終戦の日、参拝者でにぎわう靖国神社。境内には、3年後の創立150年を告知する看板があった=8月15日、東京都千代田区
戦後71年が過ぎ、戦没者の遺族や戦友らが減少するなか、参拝者をいかに確保するか、靖国神社(東京都千代田区)が手探りを続けている。一般参拝者を増やそうと、2019年の創立150年を前に、境内の夜間ライトアップや無線LANの整備などを始めた。
先月の終戦の日、正午の黙禱(もくとう)の時間になると、拝殿へ続く参道や広場に参拝者の列が続いた。杖を手にした高齢の遺族や戦友に加え、一般の若者や家族連れも。旧日本軍の軍服を着て集まる人々もおり、境内は独特の雰囲気に包まれた。神社によると、この日だけで約15万人が参拝した。
8月15日に現在のように一般参拝者が詰めかけるようになったのは、2000年代に入ってからだ。01年4月、自民党総裁選で「終戦の日に靖国を参拝する」と訴えた小泉純一郎氏が首相に就任し、この年の8月13日に参拝。翌々日の参拝者は約12万5千人で、前年の2倍に跳ね上がった。
その後いったん落ち着いたものの、戦後60年の05年には約20万5千人に。小泉首相が8月15日当日に参拝した翌06年は25万8千人を記録した。この年をピークに、以降は15万~19万人を行ったり来たりしている。
靖国を支える崇敬者総代の一人で元拓殖大総長の小田村四郎さん(92)は「新聞で批判されたり、中国などが反発したりすると、逆に宣伝になって人が来る」と述べ、参拝者増加の背景にはナショナリズム感情などがあるとみる。
一方で、信仰の核となる崇敬奉賛会(1998年設立)の会員は減り続けている。定期的に参拝し、寄付をする遺族や戦友らだ。現在はピーク時の3分の2の約6万2千人。減少について神社の社報には「会員の高齢化に伴い、逝去などの理由による退会者が多い」と記されている。1年間の参拝者数の詳細は明らかにされていないが、02年は約600万人で、03年以降は約500万人という。