兵庫県は16日、奨学金の返済に苦しむ若者を雇っている地方の中小企業に対し、返済額の一部を補助する新制度を10月に始めると発表した。補助額は1人あたり最大で年に6万円。ただ、事業所が神戸、姫路、尼崎、西宮の都市部4市にある場合は除く。関連予算7900万円を含む補正予算案を23日開会の9月議会に提案する。
県によると、都道府県では全国初の試み。対象は、日本学生支援機構の奨学金を返済中で、県内の中小企業で働く30歳未満の人。就職後3年以内の正社員で、企業側が奨学金の返済額の一部を補助する仕組みを作ることが条件だ。
県が企業の補助額の2分の1を補助。期間は最大3年間で、約1200人の対象者が見込まれている。奨学金の返済支援と中小企業の人材確保を目指すほか、地方からの若者の流出を防ぐねらいもある。県は神戸、姫路、尼崎、西宮の4市にも同様の制度を導入するよう呼びかけている。
県によると、県内の中小企業からは「景気の改善傾向で都市部の大企業への就職を志望する大卒者が増えて人材が不足している」との声が、また県内の大学からは「学生が奨学金返済で困っている」という声が寄せられているという。井戸敏三知事は「広く県内中小企業への就職促進を図りたい」と話している。(島脇健史)