カセットコンロとガスボンベを受け取るため列に並ぶ住民ら=19日午後、高槻市芝生の総合スポーツセンター、沢木香織撮影
大阪北部地震で被害を受けた大阪府に、震災の被災地から続々と支援の手が差し伸べられ始めた。熊本県や兵庫県などの自治体職員やボランティアらが大阪に入り、被災経験を背景に活動。企業などからの支援物資も届き、市民への配布が始まっている。
熊本県教育委員会は19日、「学校支援チーム」を大阪府教委に派遣した。児童・生徒や教職員の心のケアなどについてアドバイスするのが目的。2016年の熊本地震の経験を受けて今月設置したばかりの組織で、今回、指導主事ら4人が派遣された。避難所の開設初期の運営、学校の再開への態勢づくりなどを支援する。
1995年に阪神大震災を経験した兵庫県は18日、県内5病院の災害派遣医療チーム(DMAT)を大阪府に派遣。地震の影響で停電した国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)の患者を近くの病院に運ぶ活動を支援した。
ボランティア支援団体「ひょうごボランタリープラザ」(神戸市中央区)は21日に被災地にスタッフを派遣する。高橋守雄所長(69)は「がれき処理や屋内の片付け、高齢者の給水などのニーズがあれば支援したい」と話した。
一方、被害が大きかった高槻市ではガス供給停止を受け、大阪ガスがカセットコンロ3600台とボンベ7200本を提供。19日から、同市の総合スポーツセンターで市民への配布を始めた。
20日の大阪周辺は大雨になる可能性があるため、イオンやカインズホーム、国土交通省などは計約3500枚のブルーシートを提供。当初は国交省の1千枚のみだったが、屋根瓦が落ちる被害が市内で相次ぎ、市が災害協定を結ぶイオンなどに急きょ依頼した。同センターで1人1枚配布した。
高槻市の保育士、前二美代(まえふみよ)さん(37)は、市のホームページでカセットコンロの配布を知り、駆けつけた。「ガスが止まっているので、昨日は外でお弁当を買って食べた。きょうは子どもたちに料理をつくれそうです」と話した。