PR動画の一シーン。架空のアイドルグループ「HYOGO」の中での東播磨ちゃん(中央)の成長を描く(兵庫県東播磨県民局提供)
兵庫県南部の東播磨地域(明石市、加古川市など3市2町)を擬人化し、控えめで目立たないアイドルとして描いた県東播磨県民局制作のPR動画が公開中止になった。地元の泉房穂・明石市長が「待った」をかけ、県民局が応じた。あえて「自虐的」な演出で話題づくりを狙ったが、裏目に出た格好だ。
動画は東播磨の観光PRを目的に全5編で構成され、架空の3人組アイドルグループ「HYOGO」が登場。「東播磨ちゃん」は異人館が売りの「神戸ちゃん」、姫路城をアピールする「姫路ちゃん」という2人のスターに挟まれ、自信を持てずに過ごすという設定だ。
東播磨ちゃんが名物の明石焼きなどをPRしようとして、トレーナーから「弱い!」と一蹴される場面もある。ただ、周囲から励まされるうちに地元の魅力や名物の豊富さに気付いていく成長物語にもなっている。
県民局は約500万円をかけてこの動画を制作し、3月下旬から動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開。今月20日になって泉市長から県民局に「明石は日の出の勢いがあり、自信も持っている」と電話があったという。県民局は同日、動画公開をとりやめた。動画を修正して再公開するかどうかは検討中としている。
同局は「まず『面白そう』と思ってもらえないとPRにつながらず、あえて自虐的な内容にした。地域からの抗議も、ある程度は覚悟していた」と説明。人口増が続いている明石市の泉市長は26日の定例会見で「自虐とは自分自身がするもの」とし、「市民の間には不快に思っているという声もあり、それを伝えた。抗議したわけではない」と話した。(高松浩志)