26日、米大統領選討論会で握手をする民主党のヒラリー・クリントン氏(右)と共和党のドナルド・トランプ氏=AFP時事
米大統領候補の民主党クリントン前国務長官(68)と共和党トランプ氏(70)による初のテレビ討論会が26日夜(日本時間27日午前)、ニューヨーク州のホフストラ大学で行われた。自由貿易などで激しく応酬したほか、互いの印象悪化を狙って欠点を非難しあう展開となった。
特集:米大統領選挙2016
両候補が同一会場で討論するのは初めて。「繁栄の達成」「米国の先行き」「米国の安全」の3テーマで30分ずつ議論した。
クリントン氏は経済・雇用問題について「富裕層だけでなく、全ての労働者のための経済を構築しなければならない」と主張。トランプ氏が主張する法人減税など大規模減税策について、経済を停滞させると批判。トランプ氏の資質を疑問視し、「誰が国民の生活を向上する計画を実行に移す大統領の重大な責務を担えるのか」と訴えた。
一方、トランプ氏は、米国が北米自由貿易協定(NAFTA)など自由貿易を推進したことで米国企業が海外に流れ、米国民の雇用が奪われたと主張。クリントン氏が公職にありながら対策を打たなかったと批判を展開した。環太平洋経済連携協定(TPP)について、クリントン氏が推進していたのに反対に方針を変えたと強調、「大統領に当選したら再び態度を変えるに違いない」と指摘した。
一方、クリントン氏は、納税申告書の公開を拒んでいるトランプ氏を「何かを隠している」と批判。これに対し、トランプ氏は、クリントン氏が国務長官時代に公務で私用メールアドレスを使った問題を指摘。互いの「欠点」を批判しあう場面も目立った。
各種世論調査では、両候補の支持率は拮抗(きっこう)している。初回の討論会は、40年超の政治キャリアを誇る「実績」を前面に出すクリントン氏と、不法移民や相手候補をののしって勝ち上がってきた「型破り」のトランプ氏の対決として全米が注目。1980年のテレビ討論会では、現職大統領のカーター氏(民主)に俳優出身のレーガン氏(共和党)が挑み、視聴者は過去最高の8千万人を記録した。今回はそれを上回る1億人が視聴すると予想されている。(ヘムステッド〈ニューヨーク州〉=佐藤武嗣、中井大助)