新たに掲げた「韓国トースト」の看板と鹿田さん=福岡市中央区薬院2丁目
韓国ではトーストが屋台料理として親しまれている。その味に魅せられた「すご腕」の元営業マンが福岡市に出した韓国風のトースト店は苦戦していたが、ある作戦が功を奏し、売り上げが突然3倍以上になった。至極単純なその秘策とは――。
九州最大の繁華街・福岡市天神地区にほど近い、薬院六つ角近くに「トーストのバンビ」はある。店主の鹿田保光さん(54)が昨年4月にオープンさせた。
韓国のトーストは、バターを塗った鉄板の上で、薄い食パン2枚と刻んだキャベツが入った卵焼きなどの具を別々に焼き、ケチャップや砂糖で味付けして最後に挟むホットサンドだ。韓国では屋台で親しまれているほか、アレンジした様々なトーストをそろえた専門店もある人気の味だ。
鹿田さんは2014年8月、家族旅行で行った韓国・釜山で初めて食べて、その味に感動した。当時は大手住宅会社の営業マン。1カ月に家を3棟売るなど活躍し、何度も全国表彰された経歴を持っていたが、「何千万円の家を買える一部の人相手より、誰でも買える1個何百円の商売がしたい」と思い始めた矢先だった。その年の10月に辞表を出すと、11月から1カ月半、釜山の有名店で作り方を学び、15年春の開店にこぎ着けた。
しゃれた店が並ぶ街の雰囲気に合わせ、控えめな店名の看板だけで約1年半、営業してきた。だが、思ったより客足は伸びなかった。
「なにが足りないのか」。思案を続けているとき、テレビで、インドネシアのホットドッグ専門店に行列ができている様子を見た。国名を前面に出した営業で、鹿田さんは看板に一工夫加えることを思いついた。
土曜日の8月27日。「韓国ト…