禁煙外来を設けている島根県江津(ごうつ)市の済生会江津総合病院(300床)が、職員らが敷地内で喫煙したため禁煙外来の保険適用が認められなくなったとして、4年半分の診療報酬を返すことを決めた。取材に対し明らかにした。禁煙外来は9月27日から休診している。
病院によると、8月下旬の厚生労働省中国四国厚生局の調査で、複数の職員が裏口などで喫煙しているのを確認。禁煙治療で病院が保険適用を受けるには敷地内での全面禁煙が条件で、厚生局は禁煙外来の診療報酬請求辞退と過去に受領した診療報酬の自主返還を指導したという。
病院の聞き取り調査の結果、病院が現地に移転した2006年6月から全面禁煙にしていたのに職員が喫煙していたことが判明。吸い殻が入ったペットボトルも見つかった。過去にも職員の喫煙を患者からの通報で知り、会議や院内報などで注意喚起したことが複数回あったという。
禁煙外来の診療報酬の請求で敷地内の全面禁煙が条件に加わったのが12年4月からで、病院は今年9月までに受け取った診療報酬を保険者の自治体などに返還する方針。禁煙外来以外の診療でも、全面禁煙が保険適用の条件になっているため、返還額を調べている。安食治外(あじきはると)事務部長は「指導を重く受け止めている。職員が一丸となって禁煙に取り組みたい」と話している。(礒部修作)