防災無線のしくみと検査院の指摘
住民に避難などを呼びかける防災行政無線について会計検査院が調べたところ、災害時に機能しない恐れがある情報発信器(親局)や放送拡声器(子局)が全国27市区町に約800基あることがわかった。設置している建物に十分な耐震性がないことなどが理由だ。検査院は国土交通省に、自治体に適切な指導をするよう求める方針だ。
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防災無線は自治体ごとに設置し、親局は災害発生時に行政の活動拠点となる市町村の庁舎などに置かれる。子局は親局から送られてきた情報を拡声放送するもので、学校などの公共施設や支柱に設置される。
検査院は、国交省の補助事業を利用して2008~15年度に新たに親局や子局を設置した、20都道府県の95市区町村を調べた。
すると高知県香南市など2市で、親局を設置している建物が耐震基準を満たしていなかった。子局についても、東京都大田区などで設置している建物が倒壊する恐れのあるものが23基あった。
また20市区町では、親局2基や子局60基を設置する建物が1981年以前の旧耐震基準で建てられ、耐震診断も受けていなかった。
耐震基準を満たしていない親局2基と、耐震診断をしていなかった親局2基が機能しなくなった場合に影響を受ける子局は、計約700基にのぼった。
国交省の補助事業は「都市防災…