相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者１９人が死亡した事件を受け、神奈川県は５日、第三者による検証委員会を開いた。殺人容疑で送検された植松聖（さとし）容疑者（２６）＝鑑定留置中＝が「障害者４７０名を抹殺する」などと書いた手紙について、神奈川県警が「園に正確に危険性を伝えた」としたのに対し、園は「危害を加えられるかもしれない」という程度の受け止めで、双方の温度差が浮き彫りになった。

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検証委で県警側は、植松容疑者が２月に衆院議長に持参した手紙について、「入所者に危害を加える」といった内容を詳しく複数回にわたって園に伝え、夜間の警備体制の強化も申し入れたとした。口頭での伝達にとどめ、手紙のコピーを見せなかった理由は「（妄想がうかがえる）非現実的な部分を見せれば、危害を加える信憑（しんぴょう）性を欠くことになった」と説明した。

一方の園側は「植松容疑者は自分の希望が通らなければ、危害を加えるかもしれない」というレベルの認識だったと説明。県の佐久間信哉・保健福祉局長は検証委終了後の記者会見で、「県警の方が、より具体的な危機意識を持っており、施設と認識のずれがあった」と述べた。手紙の実物を県警が園に見せなかったことについては、検証委の委員の間でも意見が分かれたという。県は１１月中に報告書をまとめる方針。（大森浩司）