会社に未払い賃金の支払いを求めて提訴したことを理由に、定年後に再雇用されなかったのは不当だとして、タクシー会社「国際自動車」(東京都新宿区)の元運転手10人が7日、社員であることの確認と、賃金など計約5500万円の支払いを同社や社長らに求める訴訟を東京地裁に起こした。
原告の代理人弁護士によると、原告10人を含む運転手56人が今年1月、同社に未払い賃金の請求を求めて提訴したところ、会社側は原告らが所属する労働組合との団体交渉などで、「会社を提訴するような人とは再雇用契約するつもりはない」などと発言。原告10人とは、定年後1年ごとに結んでいた再雇用契約を更新しなかったという。原告側は「不安定雇用の労働者を狙い撃ちにした悪質な雇い止めで、憲法が保障する『裁判を受ける権利』を侵害している」と訴えた。
原告の一部は、賃金の仮払いを命じる仮処分を同地裁に申し立てている。うち4人については、7日までに地裁が「提訴を理由とした雇い止めは不当」と認め、仮払いを命じる仮処分決定を出した。
同社側は「訴状を見ていないので、コメントは差し控えます」としている。