デビッド・ボウイの魂
これほど変化に富んだロックアーティストがかつていただろうか。デビッド・ボウイ。今年1月に69歳で亡くなるまで音楽の革新を続け、今なお影響力はとどまるところを知らない。ボウイは何を求め続けたのか。
エッジの利いた初期の楽曲「チェンジズ」に象徴されるように、デビッド・ボウイ(1947~2016)は「変幻自在の人」だった。どぎつい異星人のような「ジギー・スターダスト」、危ういまでに美しい「痩せた青白き公爵」……。演じたキャラクターは、どれも極端で鮮烈だった。
1967年のデビュー作から2016年の最終作「★(ブラックスター)」まで、スタジオアルバムは28枚。時代ごとに音楽スタイルも外見も、変える傾向があった。音楽家、デザイナー、美術家、詩人らとの交流から、新発想をつかみ、表現の彩りを豊かにした。
いま、大回顧展「DAVID BOWIE is」が世界を巡回中だ。ボウイの活動を映像や音声で立体的に伝える。伊ボローニャに展示を招聘(しょうへい)した会社代表フラン・トマシさんは「回顧展は、自叙伝を書くのを拒んだ彼の伝記のようなものだ」と話す。
企画した英国立「ビクトリア・アンド・アルバート博物館」のキュレーター、ビクトリア・ブロークスさんは言う。「アート、デザイン、パフォーマンスのすべてを融合させた存在がデビッド・ボウイです」
ただ、ボウイの曲が聴かれ続け…