「突き」の練習をする男子生徒。空手を習っている子だけは空手着を着る=沖縄県西原町の町立西原東中
中学の体育で必修となっている武道の授業で、空手を選ぶ学校が増えている。人と接触しない「形(かた)」なら、けがの心配がほとんどなく、道具も不要で、体操服でできるのが魅力だという。2020年東京五輪の正式種目に決まったことも、追い風になっている。
特集:沖縄はいま
■発祥の地、沖縄でも急増
「エイ! エイ!」
沖縄県西原町の町立西原東中学校体育館。9月上旬、体操服の男子約30人が声を合わせ、拳を交互に突き出していた。空手の授業の「突き」の練習だ。
「まっすぐ突いて、最後にねじる」「急所は体の真ん中だから、突くのも守るのも真ん中」。松田健教諭(51)の声が飛ぶ。拳は決して人に当てない。相手がいると想定し、突きや受け、蹴りなどを組み合わせた「形」を習得していく。
1年の與那嶺慧伍(よなみねけいご)さん(13)は「楽しい。色々な技を学びたい」と話す。
沖縄は空手発祥の地。県内には400を超す道場がある。沖縄県教育委員会によると、授業で空手を学ぶ学校は戦前からあったが、学習指導要領の改訂で、中学の体育で武道が必修となった12年春以降に急増。昨年度は公立中学の8割を超す123校が空手の授業をしたという。多くは年間10~12時間だ。松田教諭は「道着も道具もいらない。沖縄の伝統文化を継承してほしい」と願う。
那覇市の私立沖縄尚学中は07…