記者会見する日産自動車の田川丈二常務執行役員=9日、横浜市の日産自動車グローバル本社、青山直篤撮影
自動車大手7社の2016年4~12月期決算が9日出そろった。トランプ米大統領の勝利後に進んだ円安を受け、4社が17年3月期の純損益見通しを上方修正。だが、保護主義的な政策を掲げるトランプ氏の就任で先行きには暗雲が漂う。各社は10日の日米首脳会談の行方を注視する。
「為替変動の影響が大きく寄与している」
トヨタ自動車の大竹哲也常務役員は6日の記者会見で、業績見通しの上方修正についてそう述べた。
昨年11月にトランプ氏が大統領選に勝利してから、外国為替市場では市場予想を裏切る形で円安が進んだ。今回、大手7社のうち日産自動車を除く6社が、17年3月期を通じた円相場の見通しを対ドルで2~6円円安方向に改め、1ドル=106~109円とした。
自動車業界は安倍政権下で進んだ円安で利益を膨らませてきたが、昨年に入って円相場が円高方向に振れ、「アベノミクス」が始まって以来初めて、業績の減速局面を迎えていた。トランプ氏勝利のおかげで「棚ぼた」の円安効果が転がり込んだ格好だ。純損益の見通しを引き下げたのは、ブランド戦略の見直しで値引きを抑え、4~12月期の国内販売台数が前年同期比19%減と落ち込んだマツダだけだった。