国内で製造・販売されていない乳児用の液体ミルクについて、菅義偉官房長官は17日の記者会見で、解禁に向けて検討する考えを示した。震災時などに役立つほか、男性の育児参加の促進につながると判断した。
菅氏は、7日に開催された男女共同参画会議の会合で、有識者委員から「震災時だけでなく、平常時も男性の育児参加を進める上で、液体ミルクは有効だ」との発言があり、加藤勝信・1億総活躍担当相が「問題提起をしっかり受けとめたい」と応じたことを紹介。そのうえで、同会議の下部組織である「男性の暮らし方・意識の変革に関する専門調査会」で、解禁について検討するとした。
国外で販売されている乳児用の液体ミルクはペットボトルなどに入っており、乳首型の吸い口を付ければ、すぐに飲ませることができる。粉を熱いお湯で溶かし、常温まで冷まして飲ませる粉ミルクより手軽だ。熊本地震の際にはフィンランドから支援物資として届けられ、好評だった。
しかし、国内では食品衛生法の規格基準で想定されておらず、国内メーカーは製造していない。液体ミルクを常温で保管した場合、牛乳などより厳しい安全基準が求められる。2009年に日本乳業協会が厚生労働省に解禁を要望したが、本格的な検討は進んでいなかった。