和解後に会見する原告の藤井朋樹さん(左)と真希さん
育児支援を受けたい人と、支援する人をつなぐ大阪府八尾市の事業を利用し、市内の50代の女性に預けた生後5カ月の長女が死亡したのは、市や女性の責任だとして、両親が計約7500万円の賠償を求めた訴訟が3日、大阪地裁(三木素子裁判長)で和解した。女性が遺憾の意を表明して解決金計4千万円を支払い、市は哀悼の意を示して再発防止に努めることになった。
訴えを起こしていたのは藤井朋樹さん(37)と妻の真希さん(37)。
訴訟記録などによると、真希さんは2010年11月、八尾市のファミリー・サポート・センター事業(ファミサポ)を利用し、登録されていた女性に長女のさつきちゃんを預けた。ところが、迎えに行くとさつきちゃんの体調が急変。一時、心肺停止状態に陥り、その後は重度の脳障害を負って意識不明の状態が続き、13年10月に死亡した。
両親は「うつぶせに寝かせたからだ」と訴え、市にも責任があると主張。一方、市側は「死因はウイルス感染によるもの」などと反論していた。
真希さんは和解後に会見し、「ほっとした気持ちはあるが、さつきは帰ってこない。寂しさは変わらない。事故が起こらないよう八尾市や国に働きかけをしていきたい」と話した。
八尾市の田中誠太市長は「ご両親が深い思いの中で(和解を)ご判断いただいた。子どもの安全安心に最大限努力したい」とのコメントを出した。
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