中央自動車道の笹子トンネル(山梨県)で2012年に11人が死傷した天井板の崩落事故で、遺族が中日本高速道路(本社・名古屋市)の当時の社長らに1800万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が19日、東京高裁であった。河野清孝裁判長は「社長らが事故を予見することは困難」として賠償責任はないと判断。遺族の請求を退けた一審・横浜地裁判決を支持し、控訴を棄却した。
遺族が、同社と子会社の当時の社長ら幹部4人に損害賠償を求めていた。控訴審で遺族側は「老朽化が進んでいたのに、元社長らは応急対策を指示するなどの義務を怠った」などと主張したが、高裁判決は「トンネル点検の業務に社長が関わることは予定されていない」などと退けた。
事故で亡くなった石川友梨さん(当時28)の父信一さん(67)=神奈川県横須賀市=は「やっぱり、という判決。責任の所在をはっきりさせるためにも、最高裁まで戦いたい」と話した。