東京電力は19日、福島第一原発の汚染水対策として1~4号機を「氷の壁」で囲う凍土壁について、「建屋の海側の壁がほぼ凍結した」と原子力規制委員会の検討会で報告した。ただ、壁の下流の海側エリアでくみ上げている地下水の量はまだ減っておらず、東電と規制委は数カ月かけて遮水効果を確認する方針だ。
東電は3月に、海側の凍土壁の凍結を始めた。遮水効果が確認された後、山側の凍結を始める計画だった。だが、海側の約5800カ所ある温度計測点のうち0度以下にならない地点があった。凍土壁に穴が開いたような状態で、地下水の流入が続いていた。9月末になって、地表近くの一部を除くほぼすべての計測点で0度を下回り、ほぼ凍結したとみられる。
東電は、凍結により凍土壁の海側エリアの地下水のくみ上げ量が、1日約300トンから70トン程度に減ると期待していた。だが、10月になっても1日300~700トンで推移しており、凍土壁の効果は表れていない。東電は、8月からの大雨の影響で地下水が多い状態が続いているとして、「降水量が減ってから効果を確認したい」と説明。数カ月かけて確認するとし、規制委も大筋で了承した。(富田洸平)