輸出すると、国内で仕入れ時に払った消費税が還付される「輸出免税制度」を悪用し、不正に消費税計約6億円の還付を受けたとして、大阪地検特捜部は19日、名古屋市中区の宝飾貴金属販売会社「ジュピタートレーディング」社長の長谷川彰容疑者(49)を消費税法違反などの疑いで再逮捕し、発表した。特捜部は同日、大阪国税局と合同で関係先を家宅捜索した。認否は明らかにしていない。
消費税は、売上時に受け取った税額から仕入れ時に払った税額を差し引いて納税する。輸出品には消費税がかからず、申告すると全額が戻る仕組み。
特捜部などによると、長谷川容疑者は高級腕時計の輸出を装い、2011年4月~14年5月、消費税計約5億9778万円の還付を不正に受けたほか、約285万円の不正還付を得ようとした疑いがある。長谷川容疑者は1本数百万~数千万円の高級腕時計をジュピター社と同じ所在地にある宝飾貴金属販売店などから仕入れ、同社など3社を使って香港に輸出したよう装っていたとみられる。長谷川容疑者はこのほかに、実際に仕入れて輸出したとして計約8億5千万円の還付も受けていたという。
長谷川容疑者は、奈良県や大阪府の時計輸出販売会社の経営者らによる消費税の不正還付を手助けしたなどとして今年2月に逮捕され、消費税法違反罪などで起訴、公判中。