ライオンが開発した唾液(だえき)を使って歯や歯ぐきの健康状態を確認できる検査機器=同社提供
ライオンは唾液(だえき)を使って、歯や歯ぐきの健康状態をその場ですぐに検査できる機器を開発した。歯の状態を素早く多項目にわたり調べるシステムは業界初という。機器は手のひらサイズで、価格は税抜き19万8千円。10月末から歯科医院を中心に売り出し、1万台の普及をめざす。
商品名は、唾液検査システム「サリバリーマルチテスト(SMT)」。唾液をつけた試験紙を専用機器で読み取ると、5分後には虫歯菌の多さや、歯肉に炎症があると増える白血球の数など6項目を数値化して表示する。歯科医が結果にコメントを加えて患者に手渡せる。過去の結果と比較することもできるという。愛知学院大歯学部と協力し、7年がかりで開発した。
ライオンの開発者、西永英司さんは「歯の状態を手軽に把握し、セルフケアの充実に役立ててもらいたい」と話す。全国約6万8千の歯科医院のうち、1万カ所への展開をめざす。
ドラッグストアや健康診断を手がける機関への設置も進め、口内トラブルの早期発見を促す考え。検査結果をもとにその人に合ったオーラルケア商品の販売にもつなげたい考えだ。将来的にはビッグデータの活用も考えていくという。(西尾邦明)