渡辺明竜王
将棋の三浦弘行九段(42)に対して将棋ソフトによる不正の疑いが指摘されている問題で、渡辺明竜王(32)が三浦九段の指し手の不自然さを日本将棋連盟の幹部に訴え、対応を求めていたことが20日、わかった。三浦九段は竜王戦七番勝負の挑戦者に決まっていたが、連盟の聴取後に年内の出場停止処分を受けた。
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渡辺竜王によると、三浦九段の対局の指し手について、将棋ソフトの手順と似ているとの指摘が今月、報道関係者から寄せられた。指し手とソフトが選ぶ手とが一致するのかを調べたところ、三浦九段が勝った20局のうち、4局では、定跡手順を外れて以降の「一致率」が90%を超えたという。
その後、竜王戦の開幕が15日に迫っていたため、連盟の幹部に対応を要請した。渡辺竜王は「トップ棋士でも、ソフトとの一致率は高い人で平均約70%。三浦九段は離席が多く、感想戦で示す手もソフトと一致していた。不正の疑いが強い以上、理事会に対応してもらう必要があると判断した」と話す。
これを受け、谷川浩司会長(54)を始めとする連盟幹部、佐藤天彦名人(28)、羽生善治三冠(46)らによる会合が10日に開かれた。渡辺竜王によると、説明に対し不正を否定する声は上がらなかったという。
連盟は11日の常務会で三浦九段に事情を聴いた。この席で三浦九段が休場を申し出たが、期限の12日になっても休場届を出さなかったとして、年内の出場停止処分を決定。竜王戦は、三浦九段の代わりに丸山忠久九段(46)が出場することになった。
三浦九段は18日、弁護士を通じて不正を否定する声明を発表している。(村瀬信也)