満潮になると海(左後方)の水面が上昇し、市街地まで海水が押し寄せた=15日、マイアミビーチ、矢木隆晴撮影
地球温暖化に伴う海面上昇は、世界規模の課題。米フロリダ州では被害が既に現実となっており、対策が待ったなしだ。しかし、米国内では気候変動の存在そのものが今でも争われ、否定する政治家も多い。大統領選でも、両候補の議論はなかなかかみ合わない。
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■マイアミビーチ、冠水が日常に
15日朝、フロリダ州マイアミビーチは晴天にもかかわらず、道路のところどころに大きな水たまりが出来ていた。海沿いの幹線道路では、車が通るたびに大きな水しぶきがあがった。
前夜に大雨が降って川が氾濫(はんらん)したわけではない。満潮で海面が上がり、路面を覆うほどになったのだ。
2カ月ほど前に引っ越してきたばかりのメアリー・ベス・ワイズ(31)は顔をしかめた。「マイアミの多様性にひかれて来た。家を買うことも考えていたが、こんな高潮が続くのなら考え直してしまう」
主要都市のマイアミから湾を渡ったマイアミビーチは、高級ホテルが大西洋岸に並び、リゾートとしても人気。だが、すでに冠水が当たり前の現象となっている。秋の満月の頃は潮位が高く、冠水が起きやすいが、近年はとくに増え、地球温暖化に伴う海面上昇の影響が指摘されている。世界銀行の研究員らは、2013年の論文で「マイアミで毎年、6億7200万ドル(約700億円)の損害が出る可能性がある」と警告している。
喫緊の課題に対し、3年前に当…