重い精神疾患の患者を強制的に入院させるかどうかを判断できる「精神保健指定医」の資格取得に不正の疑いがあるとして、厚生労働省は26日、医師89人の資格取り消し・停止の行政処分の審査を始めた。過去最多の処分となる見通しで、精神医療への信頼性が大きく損なわれるほか、患者や地域の精神医療への影響が懸念される。
厚労省によると、行政処分の審議対象は、指定医の資格を不正に取得した疑いがある医師49人と、その上司にあたる指導医40人。89人が資格を取得した医療機関は47都道府県の12にわたる。このほか、資格の取得を新規申請中の医師5人にも不正の疑いがあるという。
指定医の資格を得るには、医師として5年以上、精神障害の3年以上の診療経験があり、重い統合失調症や中毒性精神障害など8件以上の症例報告を出す必要がある。しかし、不正取得の疑いがある医師は、自分で診断・治療に十分関与していない患者の症例報告を出すなどし、指導医は十分確認せずに証明を示す署名をしていたという。
聖マリアンナ医大病院(川崎市…