堺市北区に住民票がある梶本樹李(たつき)ちゃん(4)が行方不明になり、父母が児童手当などの詐欺容疑で逮捕された事件で、堺市の自宅からは樹李ちゃんの衣服などの生活用品が見つからなかったことが、捜査関係者への取材でわかった。一家は昨年末に大阪府松原市から堺市へ転居した。府警は少なくとも、この時点で樹李ちゃんは同居していなかったとみて調べている。
4歳男児不明、児童手当詐取容疑で両親逮捕 大阪・堺
捜査1課によると、父母は鉄筋工の梶本卓(すぐる、35)と無職の千穂(32)の両容疑者。卓容疑者は「(樹李ちゃんと)松原市では同居していた」、千穂容疑者は「昨年のクリスマスのころに、夫がどこかに連れて行った」などと供述しているという。ただ、行政側が最後に所在を確認した2013年12月以降、樹李ちゃんを目撃したとの証言は得られておらず、府警は供述内容の確認を進めている。
府警は両容疑者を逮捕した今月18日、堺市の自宅を家宅捜索。捜査関係者によると、樹李ちゃんの医療費の自己負担額を減らすための自治体が発行する「医療証」が見つかったが、生活用品は見つからなかった。一方、転居前の松原市の住宅の室内からは、樹李ちゃんのものとみられる微量の血液反応が検出された。
捜査関係者によると、樹李ちゃんの姉(7)は松原市に住んでいた際、友人らに「弟はお母さんのおなかの中で死んだ」と話していた。実際には、樹李ちゃんと姉は12年9月に同じ乳児院に預けられ、13年12月に父母の元に引き渡された。府警は、姉がなぜこのような話を周囲にするようになったか経緯を調べている。