津波で児童74人と教職員10人が犠牲になった宮城県石巻市立大川小学校の訴訟をめぐり、村井嘉浩知事は31日の定例記者会見で、県と市に賠償を命じた仙台地裁判決を不服として、仙台高裁に控訴する方針を正式に表明した。「当時、津波を予見するのは不可能。教員を一方的に断罪するのは納得できない」と述べた。
大川小の津波訴訟、宮城県も控訴へ 石巻市は議会が承認
この時期の表明については、大川小を設置・管理する石巻市の控訴判断に歩調を合わせたと説明した。
判決は、津波を知らせる市の広報車の呼びかけなどから「遅くとも津波到達の7分前までには、教員らは津波を予見できた」と認定。避難先とした川近くの三角地帯は逃げ場がなく、「避難場所として不適当」と断じた。
これに対し、村井知事は「知りうる情報をもって最大(限)の選択をした。(判決は)教員の責任を重くしてしまっている」と批判。判決が「教員は避難してきた地域住民に対する責任を負わない」と指摘したことについても、「児童と住民全員を安全に避難させようとしたはずの努力を否定した」と疑問を呈した。
控訴の手続きについて、村井知事は「期限が9日までと時間的余裕がない」などとして、県議会を開かず専決処分とする方針だ。