学生との対話の後、花束を受け取るミャンマーのアウンサンスーチー氏=3日午後、京都市左京区、佐藤慈子撮影
来日中のミャンマーのアウンサンスーチー国家顧問兼外相は3日、1980年代に留学した京都大学を訪れ、学生らと対話した。スーチー氏は、四半世紀にわたる民主化運動を経て国家指導者となった自らの経験に触れながら、学生らにアドバイスを送った。
「指導者として、いかに難しい判断を迫られているか」との質問に、スーチー氏は「何が正しいかは容易にわからないが、選ぶことが大切で、それに責任を持たねばならない」と指摘。軍事政権が民政移管のために2010年に実施した総選挙に参加しないと決めた判断が「私にとっては難しかった」と振り返った。
卒業後の進路を考えているという学生の「人生の手本として誰を尊敬するか」との問いには、独立の英雄で父のアウンサン将軍を尊敬しているとしつつ、「完璧な人間はおらず、一人を選ぶべきではない。それよりも、何をすれば社会に貢献できるかを考えた方がいい」と語った。
スーチー氏は、1988年に民主化運動に身を投じる前の85年から翌年にかけて、京大東南アジア研究センター(当時)で祖国の独立運動を研究。京大は3日、スーチー氏が民主主義や人権のために活動した功績をたたえ、名誉博士号を授与した。
スーチー氏は、京都市内でも訪問先で在日ミャンマー人や市民らの歓迎を受けた。新幹線で到着した京都駅では、観光客らから歓声と拍手が起きた。スマートフォンのカメラを向けられると、スーチーさんは手を振り、サインに応じる一幕もあった。(五十嵐誠、武田肇)