がん治療の新薬「オプジーボ」を開発した小野薬品工業(大阪市)は、9月中間決算が過去最高益となった。オプジーボの販売が伸びているためだが、患者1人に年約3500万円もの費用がかかり医療保険の制度などを揺るがす。国は価格を大きく引き下げようとしているが、企業の新薬開発の意欲をそぐ恐れもある。薬の値段はどうあるべきなのか。オプジーボは根本的な問題を投げかけている。
「国の薬価制度がいまの薬にあわなくなってきている。小野がけしからん、オプジーボがけしからんではなく議論してほしい」
小野の相良暁社長は7日、9月中間決算の会見で訴えた。
決算では売上高は前年同期比67・5%増の1177億円。前年同期には約30億円だったオプジーボの売上高が533億円まで急増した。日本、韓国、台湾以外の販売を任せている米製薬会社からのロイヤルティーは、22億円から87億円と約4倍になった。最終的なもうけを示す純損益は231億円とほぼ倍増し、11年ぶりに最高益を更新した。
年間でも最高益の更新は確実だが、相良社長に笑顔はなかった。オプジーボの高額さに、もうけすぎだとの見方も出ているためだ。相良社長は「業界内外で話題に上り、医者の処方に少し抑制がかかっている気がする」としている。
1260億円と見込むオプジーボの年間売上高の見込みも据え置いた。先行きが不透明なためだ。国が薬価を引き下げる可能性が高く、影響が計算できないという。
新薬の開発の成功率は3万分の…