NHKの籾井勝人会長ら執行部が、来年10月から受信料を月額50円程度値下げする方針を8日に開かれる経営委員会(石原進委員長)に提案し、了承を求めることがわかった。受信料値下げには籾井会長が強い意欲を示しているが、経営委側は今後の設備投資の規模が不透明だなどとして、時期や値下げ幅などについて審議を継続する見通し。
NHK籾井会長、続投への布石? 受信料下げに強い意欲
現在の受信料は、地上契約で月額1260円(口座・クレジット払い)。関係者によると、籾井会長は9月の幹部会議で、来年度からの受信料値下げを検討するよう指示。値下げ幅で3~4%、月額50円程度値下げする案をまとめたという。この値下げによる受信料収入への影響は年間約200億円となる。
NHKは、2020年着工予定の東京・渋谷の放送センター建て替えで、建設に必要な約1700億円のめどがついたほか、受信料収入も14、15年度は2年連続で過去最高を達成。籾井会長は「今後年間200億円以上も余ることになり、視聴者に還元すべきだ」と、10月にも経営委に値下げの必要性を訴えていた。
ただ経営委からは、今後見込まれるスーパーハイビジョン(4K、8K)への設備投資額が見通せないことなどから「来年策定する中期経営計画の中で議論すべきだ」との声も強く、来年1月の新年度予算案の編成までに結論を出す方針。
現行の受信料制度では12年10月に約7%、月額120円(口座・クレジット払い)の値下げをしている。(後藤洋平)