鈴鹿サーキットを走行中の「VITA-01」=鈴鹿市、ウエストレーシングカーズ提供
三重県鈴鹿市のレーシングカーメーカー「ウエストレーシングカーズ」が生産する入門者向けマシン「VITA(ヴィータ)―01」だけで行うレースを中国で開催する準備が進んでいる。買い求めやすい価格が受け、日本ではVITAのレースが年間5シリーズで計30戦もある。同社は中国でのモータースポーツの浸透に期待している。
14日、第1陣となる5台を名古屋港から中国に向けて輸出した。現地でエンジン(排気量1500cc)とミッションを調達して組み立てる予定だ。昨年11月に輸出した2台を含め、計7台でレースを開催する計画という。日本ではトヨタのコンパクトカー「ヴィッツRS」の中古エンジンを使ってきたが、中国製エンジンを載せるのは初めてだ。
VITAは2009年12月、当時の社長で現在は相談役顧問の神谷誠二郎さん(69)が「不景気で低迷するモータースポーツ界を元気にしたい」との願いを込めて開発し、売り出した。現在の価格は税別で286万円(タイヤ、ホイールを除く)。400万~500万円する同社の商品の中では異例の低価格だ。すでに125台が販売され、同社が生産するレーシングカーの中でも最多という。
中国・湖北省のレース企画会社とやりとりをしている神谷さんは「中国は車の年間販売台数が世界一。モータースポーツが発展する可能性は大きい。日本でVITAがレースに定着したように、中国のモータースポーツ人口の増大に貢献できたらうれしい」と話す。(佐野登)