九州に入国する旅客は熊本地震で大きく減った
熊本地震で休止した熊本空港の国際2路線が、7カ月たっても再開していない。観光客が戻らず、航空会社が再開に慎重なためだ。観光客中心の国際線は、ビジネス客が主体の路線に比べ需要変動が大きく採算性も悪いため、そもそも維持が難しい。ただ、そこに頼らざるを得ないのが、九州の空港に共通の悩みだ。
特集:熊本地震
■県、視察ツアー不発
11月上旬の熊本空港国際線ターミナル。台湾・高雄から中華航空の旅客機が到着すると、降りてきた団体客が次々とバスへと乗り込んだ。折り返しの出発便客も交じりロビーはにぎわった。ただ、隣にあるアシアナ航空(韓国)などのカウンターの照明は消えたままだ。熊本地震前、熊本空港には高雄に加え、ソウル(アシアナ)と香港(香港航空)を結ぶ3路線が就航していた。高雄は6月に再開したが、残りは運休が続いている。
熊本県は、熱心に国際線誘致を進めてきた。その活動が実り、香港と高雄の2路線が就航したのは、昨年末。複数路線の運航は熊本空港にとっては初めてのことだった。3路線とも利用は外国人観光客が大半。香港便は阿蘇など九州を巡るツアーが人気で、ソウル便はゴルフ客も多かったという。昨年度の利用率は香港便で74%、ソウル便は63%で、今年度はさらなる増加が期待されていた。
そんな矢先、熊本地震が発生し、運航が止まった。熊本県では、観光客を呼び戻すため、現地の旅行会社や雑誌社などを熊本に呼んで視察ツアーも実施した。だが、地震への警戒感も強く、観光客需要も戻っていないとして、航空会社側は県に対し再開時期のメドも示してはいないという。県の担当者も「振り出しに戻った。再開して欲しいが、航空会社のビジネスとしての判断」と落胆する。
熊本地震の影響で、九州では佐…