事故現場に至る道に規制線が張られていた=19日午後、長崎市三京町、森本類撮影
19日午前11時45分ごろ、長崎市三京町の導水用トンネルの補修工事現場で「作業員が酸欠状態になっている」と119番通報があった。長崎県警などによると、30~50代の作業員4人が病院に運ばれ、東京都内の男性(36)の死亡が確認された。ほかの3人は命に別条はないという。
長崎市が発注した老朽化に伴う漏水対策の工事で、下請けの東京都内の業者が内壁に薬剤を注入していた。県警によると、現場には6人がいて、そのうち5人がトンネル内で作業をしていた。市消防局が現場に到着した時には一酸化炭素が充満していたという。
市上下水道局によると、業者側は坑内でガソリンを使う発電機を使ったと説明し、送風機も設置していたと話しているという。しかし、換気が不十分な場所で発電機を使うと不完全燃焼を起こして一酸化炭素が発生する可能性があり、市上下水道局は「坑内で発電機を使うことは通常は考えられない」としている。
このトンネルはダムから浄水場まで水を運ぶためのもので、幅1・8メートル、高さ2メートル、延長2・8キロ。2005年から20年まで総延長300メートルで補修工事を行う計画で、今年度の工期は10月から来年2月まで。現場は長崎市中心部から北西約15キロの山中で、19日は入り口から150メートルほどの場所で作業をしていた。救急車など11台が出動し、周辺は一時騒然とした。(八尋紀子、森本類)