地震の影響で、東京電力は22日、福島第一原発の原子炉建屋地下などにたまる高濃度汚染水の移送を手動停止した。建屋から放射性物質を取り除く設備につながる配管などが地震で壊れていた場合、汚染水が漏れ出る恐れがあるため、地震発生から7分後の午前6時6分に移送を止めた。配管や設備を点検して約9時間後に再開した。
東電によると、1~4号機の地下には、放射性セシウムで1リットルあたり数十万~数千万ベクレルの高濃度汚染水が6万8千トンたまっている。巨大な津波に襲われた場合、汚染水が海に流れ出したり、建屋の外に漏れ出したりする懸念があり、東電はくみ上げ作業を10月に本格化させたばかりだった。
第一原発では約1メートルの津波が観測された。原子力規制委員会の田中俊一委員長は「汚染水漏れのリスクを下げるため、早くくみ出した方がいい」と話した。
また、福島第二原発では、3号機の使用済み燃料プールを冷やすポンプが停止した。地震の揺れで隣のタンクの水位が変動したため、自動停止装置が正常に働いた。プールには2544体の核燃料が保管されていた。約1時間40分後に運転を再開したが、水温は0・2度上昇した。(富田洸平)