オンワード・マルシェのウェブサイト=オンワードホールディングス提供
アパレル大手のオンワードホールディングス(HD)は22日、食品のネット通販「オンワード・マルシェ」のサービスを始めた。百貨店などの衣料品販売が落ち込み、アパレル事業が低迷するなか、新たな収益の柱に育てる考えだ。
ネット通販のサイトには全国約240社が調味料や菓子、食器など約3千点を出品。サイトにはファッションモデルらが登場し、雑誌のようなコラムで商品を紹介する。同社の衣料品通販サイトと共通でポイントを使えるようにし、衣料に関心のある客も取り込む。
商品は全国各地で勤務する同社の社員がアパレルの営業をしながら発掘している。今後1年で品ぞろえを2倍に増やす計画で、初年度に売上高10億円を目指す。
商品の注文を受けると、出店企業が直接発送する仕組みで、オンワードHDでは在庫を抱えない。保元道宣社長は「大量に仕入れて安く売ることはできないが、質にこだわったものを集める。読むだけでも楽しく、他のサイトと差別化できる」と話し、将来的には海外から注文を受けることも視野に入れる。
アパレル業界ではセレクトショップにカフェを併設したり、メーカーがスイーツ店を開業したりする例が相次いでいる。衣料品だけでなく食品を求める客の来店を促したり、店舗の滞在時間を延ばしたりするねらいがあるという。(栗林史子)