あっせんされた特別養子縁組が成立せず精神的苦痛を受けたなどとして、東京都の夫婦が、千葉県四街道市の民間団体「赤ちゃんの未来を救う会」(9月に解散)に対し、支払った費用や慰謝料など計約600万円の損害賠償を求める訴訟を千葉地裁佐倉支部に起こした。提訴は21日付。
訴状によると、夫婦は同会から「優先的にあっせんを受けられる」などと説明され、4、5月に計225万円を支払い、6月に子どもを引き取った。しかし、生みの親が「最終的な同意の確認がされていない」と主張。7月に子どもは生みの親の元に戻された。夫婦側は「生みの親は、社会福祉士のカウンセリングを受ける機会を与えられないなど、極めてずさんなあっせんに強い不信感を抱いて子どもの返還を求めた。このため返還せざるを得なかった」と主張している。
同会の理事だった男性は朝日新聞の取材に「訴状が届いていないので回答できない」と話している。
同会は9月、この夫婦に子どもを優先して紹介する費用として現金を受け取ったことなどが社会福祉法で定める「不当な行為」にあたるとして、県から事業停止命令を受けた。県警は今月、営利目的であっせんした疑いがあるとして児童福祉法違反の疑いで同会の関係先を家宅捜索した。