熊本工の二塁手だった坂田光由さん=津市の津球場
1996年夏の甲子園決勝で松山商の右翼手が本塁へ好返球し、熊本工のサヨナラ勝ちを阻んだ「奇跡のバックホーム」。熊本地震の被災地を盛り上げようと、当時の両校メンバーが26日に熊本市で再試合をする。当初予定されていた10月22日が雨のため順延になっていた。本塁でタッチアウトになった星子崇さん(38)=同市=の呼びかけに応じ、三重県からも、熊本工の二塁手だった坂田光由さん(38)=鈴鹿大職員=が参加する。
雨で中止の「奇跡のバックホーム」、来月26日に再戦
20年前の8月21日。熊本工は十回裏に1死満塁のチャンスをつかんだ。四球で出塁した坂田さんは一塁走者だった。打者の打球は高く上がってライトへ。打球を目で追い、坂田さんは「優勝だ」とガッツポーズをしたという。
だが、右翼手の返球は、タッチアップを試みて本塁に滑り込む星子さんの顔のわずか手前で、捕手のミットに収まった。タッチアウト。気持ちを切り替えられないまま守備に入り、十一回表に3点を奪われ、優勝を逃した。「点が入らなかっただけで、負けと決まったわけじゃない。前向きに考えられるだけの気力が残っていなかった」と坂田さんは振り返る。
高校卒業後、坂田さんは東洋大でプレーし、鈴鹿大に就職した。同大野球部のコーチを経て2012年から監督に。「なぜ、あの時勝てなかったのか」。甲子園決勝の苦い思い出が、野球に携わっていく上で「勝ちたい」という思いにつながってきた。
熊本地震の後、再試合の誘いを…