2012年にハバナで開かれたフォーラムでフィデル・カストロ氏(左)と笑顔で話す福島大准教授の丹波史紀さん=丹波さん提供
26日(日本時間)に死去したキューバの前国家評議会議長フィデル・カストロ氏は核廃絶に関心を寄せ、2003年には広島の原爆資料館を訪れていた。突然の知らせに、生前のカストロ氏と交流のあった人たちはありし日に思いをはせた。
フィデル・カストロ氏死去 キューバ前議長、90歳
特集:フィデル・カストロ氏死去
東日本大震災の被災地復興に取り組む福島大准教授の丹波史紀さん(42)は、12年にキューバの首都ハバナで開かれたフォーラムでカストロ氏から「福島の教訓を世界に伝えよう」と声をかけられた。広島・長崎の被爆者を前に「私の方が高齢だ」と冗談を言って笑わせたり、「お互いに健康に留意しよう」と話しかけたりした。「革命家という怖いイメージだったが、フレンドリーで笑顔がチャーミングな人だった。国際政治の場で核廃絶や平和を発信していただけに残念だ」と話した。
長崎市の原口貞夫さん(85)も、同じ場でカストロ氏と面会した。「穏やかな好々爺(こうこうや)のように見えた」と話す。「一人でも多くの人が被爆者の話を聞くことが、核廃絶のきっかけになる」と言われ、「精いっぱい体験を語っていこう、と背中を押された」。別れ際、「いつまでもお元気に」と手を握ると、「お相撲さんのように大きくて、包み込まれました」。
カストロ氏の姿は、写真家にも強い印象を残した。
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