東京電力福島第一原発の事故を受け、スイスで27日、「2029年の脱原発達成」の是非を問う国民投票が行われ、反対多数で否決された。投票結果は賛成45・8%に対し、反対54・2%。全26州のうち20州で反対が多数を占めた。
スイス、2029年脱原発は否決見通し 国民投票を実施
スイスは福島の事故後、将来の脱原発の方針を示したが、明確な時期などは定まっていない。これに対し、「スイス緑の党」などは老朽原発の危険性を指摘。国民投票では、5基ある原発のうち、来年以前に運転開始45年に達する3基を停止させ、最終的な脱原発を29年までに完了させる計画などの是非が問われた。
一方、連邦政府や産業界は、総発電量の35%前後を原発でまかなってきた現状などを踏まえ、「時期尚早」と反対していた。
仏語圏紙ルタンによると、スイスでは1979年以来、原子力を巡って16回の国民投票や住民投票が行われたが、原子力技術の放棄や原発閉鎖につながる提案はすべて否決されているという。(ベルン=松尾一郎)