シリアのアサド政権軍は26日から27日にかけ、同国北部の最大都市アレッポ東部の反体制派支配地域の一部を制圧した。在英NGO「シリア人権監視団」によると、政権軍の包囲下にあった住民約1万人が政権支配地域などへ脱出した。
内戦開始以降、アレッポでこれほど大規模な住民の一斉脱出は異例。激しい戦闘と窮乏から退避を余儀なくされたとみられる。
政権軍は15日以降、アレッポで大規模な軍事作戦を始めた。ロシア軍が空爆支援をしているとみられる。監視団によると、これまでに少なくとも225人の市民が死亡している。
AFP通信によると、制圧した地域のうちマサケン・ハナノ地区は反体制派が2012年に最初に支配を確立したといわれる。監視団は、1万人のうち6千人がアレッポ北部にあるクルド人勢力の支配地域に、約4千人がアレッポ西部の政権支配地域に逃れたとしている。反体制派はアレッポの支配地域の少なくとも30%を失ったという。
政権軍に包囲された地域には約30万人の住民がいるとされ、食料、燃料、医療が不足。国連によると、機能している病院は一つもない。支援物資の搬入もできない状態が続く。国連のデミストゥラ・シリア担当特使は20日、「軍事行動の激化でアレッポ東部はクリスマスまでに崩壊してしまうだろう」と警告した。(カイロ=翁長忠雄)