キューバ大使館を訪れ、記帳をする人=27日午後、東京都港区、嶋田達也撮影
キューバ革命を主導したフィデル・カストロ氏の死去を受け、27日午後、東京都内のキューバ共和国大使館では記帳台が設けられ、訪れた人たちが別れを惜しんだ。
フィデル・カストロ氏死去 キューバ前議長、90歳
特集:フィデル・カストロ氏死去
国旗と白い花とともに、軍服を着た若かりし頃と白ひげをたくわえた晩年の2枚の遺影が飾られた。川崎市の翻訳家加藤恵子さん(70)はスペイン語で「追悼します」と記した。大学院生だった約15年前、カストロ氏に影響を与えたキューバ独立の英雄ホセ・マルティの研究のため首都ハバナに約4カ月間滞在。テレビで演説する姿を何度も見た。「円卓の討論番組で6時間くらいずっと話していた。年をとっても自分の言葉で人を引きつける稀有(けう)な存在だった」
日本キューバ友好協会理事長で、東京工科大教授の工藤昌宏さん(64)=東京都八王子市=も記帳に訪れた。1960年代、協会の前身団体が大使館経由で現地に必要なものを問い合わせると、カストロ氏は「ペンが欲しい」と答えたという。「経済的に貧しくても教員や医者を育てようとしてきた。カストロ氏は誠実で国民を裏切らずに雇用問題などと闘った」
参院議員のアントニオ猪木氏は27日午後、記帳している写真をツイッターに載せ、「懐の深い人物でした。私を友人猪木と呼び、お酒を酌み交わしながら語り合った想(おも)い出を忘れることはないでしょう」と書いた。(小川崇)