DMG森精機の森雅彦社長
■DMG森精機 森雅彦社長に聞く
働き方については自分の意識も古かった。来年は、できる改革を何でもやる。在宅勤務やコアタイム(フレックスタイム)制、企業内保育所を導入する。
各社トップのインタビュー、特集ページで
長時間労働の原因は「仕事優先の考え方」
有給休暇も、すべて取得させたい。ドイツの工作機械大手を買収したが、彼らは残業をせずにきちっと帰る。昨年75%ほどだった取得率は、今年は95~96%まで上がる見込みで、来年には100%の完全取得を達成できそうだ。
1カ月あたり平均で10時間ほどの残業をゼロに近づけることで、労働時間も減らす。今年は平均で年1950時間ほどの見込みだが、来年は1850時間ぐらいまで短くする。時間あたりの給料を4~5%上げることで1人あたりの賃金総額は維持する。
日本全体を見渡して言えば、所得が低い層の賃上げは必要だ。日本の最低賃金は、経済協力開発機構(OECD)加盟の先進国で最低レベルにとどまっている。政府が仕切って、時給を少なくとも1500円以上にすべきだ。
1千円だと、年に2千時間働いても200万円にしかならない。これでは生活できないし、結婚して子どもを育てるのも難しい。最低賃金を引き上げると人件費が重荷になって経営が回らなくなる中小企業もあるだろう。そういう中小企業には何らかの形で援助する仕組みが欠かせない。(聞き手・友田雄大)