自民、公明両党は30日、返す必要がない給付型奨学金について、2018年度から1学年当たり約2万人を対象とし、月3万円を軸に給付することを安倍晋三首相に提言した。17年度は特に学費の負担が重い人に絞って先行実施する。政府は提言を受け、成績基準や財源などを詰める。
対象の2万人は、所得の少ない住民税非課税世帯であることが条件。現行の無利子奨学金を受け、成績が5段階評定で平均4・3以上の約1万人▽高校卒業後に就職したが、給付型があれば進学したという人が約5千人(文部科学省推計)▽部活動などで優れた成果を残した生徒向けに設ける「チャレンジ枠」約5千人――を積み上げて算出した。
対象者はすべて学校推薦で選ぶ。具体的には、約2万人分の枠を全国約5千の高校に各1人以上割り振り、各校は国が作る成績基準などの指針に基づいて推薦する。複数の対象者が割り振られる高校は、日本学生支援機構などが決めるという。給付額は月3万円を軸に、国立大か私大か、自宅通学か下宿住まいかといった負担の違いによって差をつける。児童養護施設の退所者など、特に負担の重い人についてはより手厚い給付も検討する。
提言した自民党の渡海紀三朗・元文部科学相は記者団に「(提言内容について首相に)理解していただけたと思う」と述べた。(水沢健一)