米国の新大統領に20日、トランプ氏が就任する。大型減税や関税の大幅な引き上げなどの公約を打ち出してきたトランプ氏は、就任当日、演説で何を語り、何を実行に移すのか。日本経済にも大きな影響を与えるだけに、経済界には「期待」と「不安」が交錯する。
トランプ氏、異例の就任式へ ボイコットや抗議デモ続々
「成長を2倍にし、世界中どこよりも強い経済を持つだろう」。トランプ氏は11月の勝利演説で、そう宣言した。選挙中は、米国の法人税を35%から15%まで引き下げ、10年間で1兆ドル(約114兆円)のインフラ投資をすると公約した。大型減税や巨額の財政出動で、米国経済の景気を上向かせるという主張だ。
トランプ氏の大統領選勝利が決まると、金融市場では米国の金利が上昇し、日本との金利差が開くとの見方からドル買い円売りが加速した。米国景気への期待感から株価も上昇した。
日本では一時、円相場がドルに対し15円近くも円安に振れ、日経平均株価は3千円超値上がりした。円安や株高が続けば、日本の輸出企業の業績も良くなり、国内の消費にもいい影響が期待できる。三菱UFJ信託銀行の酒井聡彦氏は「就任1年目の『ハネムーン期間』でいいところを見せようと、大型減税と財政出動は実現する可能性が高い。円相場は年内に1ドル=130円台をつける可能性がある」という。
だが、減税やインフラ投資を進めるには、米国の議会を通す必要があり、トランプ氏が主張した通りに実現できるかは定かではない。今月11日にあった当選後初の記者会見で、トランプ氏が具体的な経済政策に言及しなかったことなどから、円安や株高も当初の勢いはなくなっている。それだけに、市場関係者は20日の就任演説の中身を注目している。
楽天証券の窪田真之経済研究所長は「就任式でインパクトのある経済政策を打ち出すことができれば市場は安心する。今年前半に日経平均株価は2万2千円に向かう」と予想する。マネックス証券の広木隆氏も「日経平均は今月中に2万円を超える」と見る。(竹山栄太郎、真海喬生)