会談する岸田文雄外相(右から2人目)とロシアのプーチン大統領(左から2人目)=現地時間2日午後、ロシア・サンクトペテルブルク、代表撮影
ロシア・サンクトペテルブルクを訪問中の岸田文雄外相は2日午後(日本時間同日夜)、プーチン大統領と会談した。岸田氏は会談後、記者団に「(北方)領土問題や平和条約締結問題について、我が国の考え方をしっかり伝えた」と述べた。安倍晋三首相の親書を手渡すとともに、プーチン氏から首相宛ての親書を預かった。
日本側の説明によると、会談は約30分間行われ、プーチン氏は「我々の接触が継続していることを歓迎する。双方が関心を持っているあらゆる問題を協議していきたい」と強調。3日にロシアのラブロフ外相と会談する岸田氏は、プーチン氏訪日に向けて平和条約締結交渉や経済協力について詰めの協議を行う考えを伝えた。
また岸田氏は、プーチン氏が1日の年次教書演説で「日本との関係が質的に前進することを期待している」と述べたことを「歓迎する」と評価。安倍首相のメッセージを伝え、訪日に向けた準備状況を説明した。プーチン氏は「両国関係の回復をうれしく思う」と言及。経済協力を含めて「幅広い分野で協力していきたい」と語った。
安倍首相がプーチン氏訪日にあわせて交渉進展を目指している領土問題については、「一定のやりとりがあった」(日本同行筋)という。岸田氏は会談後、首相からの親書の内容などには触れず、記者団に「平和条約締結問題について、我が国の考え方をしっかり伝えたが、当然ながら具体的なやりとりは控えたい」「(プーチン氏)訪問を最大限意義あるものにするための首相の決意、日本の考え方を伝えた」などと説明するにとどめた。(サンクトペテルブルク=小林豪)