米労働省が2日発表した11月の雇用統計で、景気の動向を敏感に反映するとされる「非農業部門の就業者数(季節調整済み)」は、10月に比べて17万8千人増加した。専門家の事前予想(約18万人の増加)とほぼ同じ水準。失業率は前月の4・9%から4・6%と大幅な改善となり、9年3カ月ぶりの低水準を記録し、米国の雇用環境の好調さが確認された。
米中央銀行の連邦準備制度理事会(FRB)は追加利上げに向けた条件がほぼ整ったと判断し、今月13~14日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、昨年12月以来、1年ぶりの利上げに踏み切る見通しだ。
10月の就業者数の伸びは14万2千人に下方修正されたが、9月は20万8千人に上方修正された。FRBが堅調ととらえる水準を超えている。
FRBのイエレン議長は11月17日の米議会証言で、追加利上げの時期について「比較的早い時期に適切になる」と述べ、12月のFOMCで利上げに踏み切る可能性を示唆した。これまで利上げに慎重な発言が目立ったパウエル理事も「利上げする根拠は明らかに高まった」と11月29日の講演で語っている。
また、米商務省が11月29日に発表した2016年7~9月期の実質国内総生産(GDP)の改定値は、年率換算で前期比3・2%増となり、速報値(2・9%増)から上方修正された。市場参加者が予想する12月利上げの確率は9割以上の水準まで高まっている。(ニューヨーク=畑中徹)