過激派組織「イスラム国」(IS)の広報担当は5日、声明を出し、トルコを名指しして、同国の「全ての大使館と領事館」を攻撃するよう信奉者に呼びかけた。トルコは今夏以降、シリア北部に軍を侵攻させ、同地のIS支配地域の制圧を続けている。ISはその報復を図ろうとしているとみられる。
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米国のイスラム過激派研究機関SITEなどが伝えた。声明では、攻撃すべき対象として米国や欧州、ロシア、イラン、クルド人勢力と共にトルコを挙げた。ただしトルコについては「全世界の大使館と領事館を含む、治安、軍事、経済、メディア分野におけるあらゆるトルコ政府関係者」と詳述した。
トルコメディアによると、シリア北部に展開するトルコ軍は現在、トルコが支援する反体制派武装組織「自由シリア軍」(FSA)と共に、シリア北部のIS最大拠点バーブまで数キロの地点に迫っている。
11月末には同作戦に参加するトルコ軍兵士2人が行方不明になり、ISが誘拐したと発表。トルコ国内では最大都市イスタンブールなどで潜伏中のIS戦闘員の逮捕が相次ぐなど、トルコとISの緊張が続いている。(イスタンブール=春日芳晃)