無罪が確定し、設計図に囲まれて新しい仕事に取りかかる高木直喜さん。「日常を取り戻したい」と語った=石川県野々市市
東京地検が異例の再捜査を始める「コストコ多摩境店」(東京都町田市)の駐車場スロープ崩落事故。業務上過失致死傷罪で起訴され無罪が確定した1級建築士、高木直喜さん(70)は真相解明に期待する一方、振り回された捜査に疑問も感じている。
コストコのスロープ崩壊、再捜査へ 無罪判決で東京地検
11月下旬、高木さんは石川県野々市市にある自身の建築事務所で新しい設計の仕事に取りかかっていた。東京高裁で無罪判決を受けてから約1カ月。「幸い仕事は減らなかった。設計ミスではなく施工ミスだと説明し、取引先は分かってくれたが、検事は理解してくれない。誰かを起訴しないと都合が悪く、私が一番起訴しやすかったのだろう」と話した。
同店の設計に関わったのは15年前の2001年12月。知り合いのコストコ担当者から「当初の設計では工期も費用も間に合わない。設計を引き継いでほしい」と依頼された。着工予定まで1カ月ほどで、一度は断ったが「前任者がつくった設計図を手直しするだけでいい。他の設計者との協議もしなくていい」と言われ、引き受けたという。
11年3月の東日本大震災で事…